おさない ひろし
小山内 博
1925(大正14)年生まれ。青森県出身。
旧制弘前高等学校、東京大学医学部卒業。
財)労働科学研究所元所長
2003(平成15)年没
長く労働科学研究所に勤務され、労災防止・予防からより積極的な健康づくりへと、働く人の健康を守る仕事ひとすじに歩んでこられた。
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昭和30年代、日本の復興期には、各地の鉱山を回って、坑内で働く人の粉塵問題に取り組まれ、塵肺研究では日本一といわれた。
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昭和40年代、高度成長経済期には、労働の機械化・効率化に伴い多発した頸肩腕症候群、腰痛に取り組み、小山内体操を考案して、解決に導いた。
日本軽金属(株)苫小牧工場の従業員1000人の腰痛を3ヵ月で改善したケースは、“苫小牧の奇跡”としてよく知られている。
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昭和50年代以降、経済成長が進み、豊かさが増すにつれ、がん、動脈硬化、高血圧、糖尿病などの生活習慣病が増大。氏は早くから生活習慣病の研究に取り組み、
昭和50年には、すでに高血圧の改善にはゆっくり走る持久的トレーニングが最も有効であるとの結論を得、治療に取り入れた。
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がんについては、マウスを使った実験で、血液循環の不良、酸素不足が発症に結びつくと推論し、研究論文を発表。循環器系の疾患についても、
血液循環の不良が発症につながるとの知見を得、予防につなげるための「加速度脈波計」を開発された。
キリンビール(株)では「加速度脈波計」を用いて、動脈硬化予備軍を割り出し、ゆっくりランニング等を指導して、社員の健康改善につなげた。
栃木工場では、小山内式を導入し、創業以来の快挙、2000日(6年)労災無災害を達成!
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労働の現場での豊富な経験と、研究所での実験、深い学識と探究心により、昭和50年代には、すでに「小山内式4原則」を確立し、多くの企業で産業医、
予防医、嘱託医として従業員の健康づくりを指導した。
農林中央金庫では、長年の小山内式健康づくりが功を奏して健保の財政が黒字となり、他企業が赤字に悩むなか、健保料を引き下げたことがある。
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企業での健康づくりは、『企業の現場から19人が語る小山内博の健康づくり』(後述)にまとめられている。
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小山内式4原則」は、氏の膨大な研究の成果であり、知と汗の結晶である。