トップアスリートに聞きました。「運動の前に食事をすると、どうなりますか?」

「食べて試合に出ると、負ける」

『「水かぶり」でアレルギー知らず!』発売から4ヶ月たち、冷水が身にしみる季節となりました。実行中の皆さまには、冷水お見舞い申し上げます。
「水かぶり」はこれからが本番で、「肌がきれいになった」「冷え性が治った」「風邪をひかなくなった」「アレルギーが改善しつつある」など、様ざまな変化が確認されることと思いますので、どうかめげずにがんばってください。

今回は「水かぶり」に次いで質問の多かった「食後の運動」について特集します。
これまで、スポーツや仕事の前に腹ごしらえすることが、からだによくないと考える人はあまりいなかったようで、
「食べてすぐに運動をすることが消化に悪いとは、考えもしなかった!」
「腹ごなしと思っていた運動が、からだによくないとは!」
「どうりで食べてから泳ぐと、からだが重くて調子が出ない」などなど、目からウロコ的発言が次々と寄せられました。
どうも今のスポーツの現場では、「食後すぐの運動」は好ましくはないとは認識されていないようです。それどころか本書で高校の先生が指摘されているように、 「腹が減っては戦ができぬ」とばかり、試合前に豚カツのような重い弁当を食べさせたりしているのです。
そのような傾向はスポーツ界だけではありません。
一般社会でも「食べ過ぎたから腹ごなしに軽く走ってくる」とか「食べたあと寝ると牛になる」といってすぐに働いたりします。 摂った食事が消化に及ぼす影響については、誰も考えてはいないのでしょう。
このような矛盾をどう考えればいいのか、食後の運動がもっとも顕著にからだに影響するスポーツ選手に聞いてみました。 元バドミントンの選手で、小山内先生の愛弟子でもあった高岸陽子さんです。

元気印の高岸陽子さん
高岸さんは、高校時代からインターハイで活躍し、体育大に進んで国体2年連続優勝をはたすなど、いくつもの競技会で優勝を経験している元トップアスリートです。
その高岸さん、高校生の頃から「食べて試合に出ると、負ける」ということに気がついていました。小山内理論に出会うずっと前からです。
食べてからトレーニングすると、苦しくなる。とくにきついトレーニングでは、吐いてしまうこともしばしばだった。試合前に食べると、動きが鈍くなって、100%の力を出し切れない。その体験から、試合前には絶対にものを食べないことにしたといいます。
食事の摂り方については、コーチからとくにアドバイスはなかったので、勝つためにはどうすればいいか、 自分の感覚を信じてやってきた。それで納得のいく成績を残すことができた。後に小山内理論に出会って、 理論的にも自分の選択が正しかったことを知り、快哉を叫んだとのことです。

からだの声を聴く

最近のスポーツ界では、栄養士による栄養管理などは進化しているが、食事の摂り方のタイミングなどについては、マラソン以外、あまり留意されていないようです。
高岸さんは、自分の経験から、試合前には固形物は口に入れないようアドバイスします。たとえパンやジュース程度の軽食でも、 消化に負担がかかり、伯仲した試合では、その負担が勝敗を分けることにもつながりかねないからです。
小山内先生の持論でもあります。
そういえば、何分の1秒を争う元スピードスケートの清水宏保選手は、試合前には胃袋を完全に空にして、消化にかかる負担をゼロにして臨むといってました。 一流の選手は、勝つためには、からだに一切余分な負担をかけないことが必須と心得ているのです。
高岸さんは、いろいろな情報にとりまかれる中で、何が自分にとってベストか決めるには「食べてすぐにトレーニングをしたら調子はどうなのか、からだに聴いてみること。自分で確認して、からだの声に従うことがいちばん」といいます。
元トップアスリートの声だけに説得力はバツグン。成績の出ない人やおなかの調子のわるい人は、ぜひ参考にされてください。
スポーツ以外でも、理屈は同じです。
大事な仕事の前にたらふく食べたら、眠くなります。 「腹が減っては戦ができぬ」どころか目を開けているだけで精一杯ということになりかねません。
やはり食事は仕事が終わってから、ゆっくり楽しむのがからだにとってベストです。

小山内博士直伝の健康づくりを学ぶ

高岸さんは、体育大に在学中に小山内先生に出会って理論を学びました。
その後選手として活躍しながら、企業の健康づくりを通じて、直接先生から小山内式健康づくりの技を伝授されたのです。
小山内先生亡き後は、農林中央金庫、および関連企業の健康づくり業務を引き継ぎ、今日まで15年間にわたり年間1,500〜2000人もの従業員の面談に応じてきました。
名実ともに小山内式健康づくりの継承者といっていいでしょう。
その高岸さんが、このたび、東京都大田区で地区住民を対象に30年にわたって指導している体操教室KTCを一般開放し、誰もが小山内体操を体験できる場としました。
大田区以外の東京都民や他県からも、小山内式を直接体験したいという声が多く寄せられ、それにこたえて実現したのです。当HPにも、 小山内式を体験できる場を作ってほしいとの要望があり、願ってもないことでした。
KTCとは、もともとは大田区の住民グループが、区の健康づくりの一環として自主的に行なっている体操教室です。 高岸さん指導のもと、 大田区の南馬込文化センターで毎週1回行なわれ、ビジターは1回1000円と、手ごろな費用で参加できます。
このほど、教室をのぞいてみましたが、その内容の濃さ、充実ぶり、レベルの高さには驚かされました。当日のメンバーは50代から80代でしたが、ストレッチ体操30分、 小山内体操30分、休みなく行い、みんなしっかりついていきます。
広々した体育館で、交互に足首を押さえて小山内体操を行う、
80歳を過ぎてもこんなにしなやか。 川辺さんと門田さん。
きつそうなストレッチも軽々こなし、小山内式背そらし、背伸ばしもきれいに上がります。しなやかで、粘りのあるからだは、とても80過ぎとは思えません。
川辺佐代子さん(83)は退職後にはじめて20年、門田昭子さん(70)は当初からのメンバーで30年になります。 皆さん病気知らずだそうで、まさに「継続は力なり」。体操は健康づくりのもとだと確信しました。

時にはセンター内の和室で高岸さんの講話も。小山内理論が聞けるチャンスだ。

体操のほかに、不定期で小山内健康づくりについての講話もあります。「水かぶり」や「朝食抜き」など、詳しく知りたい方にとってもよい機会です。
希望者は、下記へお申し込みください。

<高岸陽子のプロフィル>

  健康づくりコンサルタント   昭和33年生まれ 福井県出身   東京女子体育大学卒   バドミントンの元トップアスリート。国体2年連続優勝など数々の優勝歴を持つ   卒業後はカワサキラケット(株)に所属し、選手活動をしながら小山内理論を学ぶ。 ヤマハ(株)バドミントンコーチングスタッフ、東京YMCA講師、多摩スポーツ会館相談員を経て、 農林中央金庫、および関連企業で15年間にわたり健康コンサルタントを務める。診療所や鍼灸治療院で個人向けに健康コンサルタントも行っている。

(文責 高木亜由子)
2013年10月31日  

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『「水かぶり」でアレルギー知らず!』小山内博士の、生命をつよくする子育ての知恵