◎おもな著書
 

『健康づくりの基礎 −予防医学の立場から−

1987年(財)労働科学研究所出版部/2300円(税込)
氏が研究所を退職されてから、それまでの仕事、研究のすべてを総括し、まとめたのが本書である。大胆な自説には、詳細なデータが添えられ、完膚なきまでに検証されている。朝食摂取がいかに間違っているか、生理的に、歴史的にひもとかれ、読み物としても興味深い書となっている。
氏は「揚げ足をとられるのが大嫌いなので、慎重な言い回しになり、読みにくい面があるかもしれない」と述懐されていた。しかし、20年以上たった今も、少しも古びることなく、発見に満ち満ちた、文明論的視野に貫かれた、稀有な医学書である。
残念ながら絶版となっているが、復刻を望む人は多い。

『生活習慣病に克つ新常識 −まずは朝食を抜く−

2003年 新潮社新潮新書/680円(税別)
小山内理論をコンパクトに、読みやすくまとめた1冊。
おもな疾病をとりあげ、病に至る道すじをたどることによって原因を明らかにし、治療や予防対策として「小山内式4原則」を提示している。
1章「朝食はからだに悪い」では、活動前の食事が消化を妨げ、胃腸病を招いていること。減りつつあるとはいえ、先進諸国の中で日本人の胃がんが突出して多いのは、食べてすぐにせかせかと動く食習慣が一因となっていることを、むかし吉野地方の林業労働者に胃がんが多発したことを例にひいて説明している。
2章「かわいい子には冷水浴を」では、アレルギー疾患の増大を、暑さ寒さといった刺激の少ない現代生活に求め、副腎皮質ホルモンの分泌が減少したことにより、アレルギーを抑えられないと分析。手軽な刺激の方法として、風呂上りの水かぶりをすすめる。肝炎も冷水浴で抑えられることが、GOT・GPTのデータで示されている。
3章「からだは使わないところからダメになる」では、肩こり・腰痛が生活の偏りから生じることを示し、偏りを是正するために小山内体操をすすめる。「うつ」や「引きこもり」になぜ体操が効くか、背骨の働きから説いている。
4章「がんも生活習慣病の一種」の項では、がん、高血圧、動脈硬化について氏独自の理論が展開される。
本書はロングセラーとなっており、現在15刷。

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『なまけもののマウスからがんになる』

2005年 光文社 知恵の森文庫/571円(税別)
タイトルから誤解されやすいが、マウスの実験結果からの引用である。
ケージにマウスを飼い、輪回し運動ができるようワッカを入れて半年〜1年間、輪回しの回数を記録すると、輪回し運動をさぼった、なまけもののマウスから順番に肝臓がんになるという。人間もからだを動かさない、血液循環不良の人ほどがんになりやすいという論拠である。ただし、胃がんは働きすぎの人がかかりやすいという。
「小山内式4原則」の有効性を、具体的に事例をあげながら解き明かした、面白く読めると評判の文庫版。『本当はヤセたいのに、まだ朝食を食べている人たちへ』を再構成して、文庫化したものである。

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 【 新 刊 】


「水かぶり」でアレルギー知らず!

小山内博士の、生命をつよくする子育ての知恵

2013年 小山内 博 著  高木亜由子 編著  三五館刊 定価:900円(税別)
生命力の強い、しっかりしたからだをつくるための子育ての書。
幼時から「水かぶり」をして育てられた子どもは、アレルギー知らず、病気知らずに育つということが、小山内医師により理論的に説明され、編者の高木が実例(3家族9人の子ども)を10年間にわたって追跡調査し、小山内説を検証している。 ほかにも出生から幼児期、少年期、思春期にわたって、その時期に課すべきことが、からだの生理メカニズムに基づいて丁寧に提示されている。
子育て中なら、一家に一冊は備えておきたい書だ。
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◎関連図書
 

『企業の現場から19人が語る小山内博の健康づくり』

2006年 高木亜由子編
小山内氏の本の編集を手がけてきた編集者(筆者)が、氏亡き後、企業でともに健康づくりに関わってきた関係者に取材して、小山内式健康づくりの実態を聞き書きでまとめたもの。日本軽金属(株)、農林中央金庫、住友スリーエム(株)、キリンビール(株)の4社の方々にご協力いただいた。
小山内式がどのように運営されてきたか、それぞれの立場から詳細に語られ、人間味豊かな氏のエピソードも豊富にちりばめられている。
私家版なので市販していないが、希望者にはお分けします。

『デキる社員は「朝食抜き!」』

2008年 堤祐子著 三五館刊/1260円(税込)
上記『企業の現場から19人が語る・・・』のうちの1人、元住友スリーエムの産業看護師堤祐子さんが、企業における健康づくりを、歯切れよく語り下ろした1冊。
20年にわたり「病気にさせない医師」と連携して、生活習慣病予備群社員を健康に導いていく過程が、生き生きと描かれている。そっぽを向いていた社員が「だまされたと思ってやって」みた結果、どんどんよくなり、小山内式を受け入れるようになるまでのやりとりが面白い。
3章「こうして“うつ”を治した」では、小山内体操を指導して“うつ”予備軍を改善した事例が報告されている。彼らに寄り添う堤さんの懐は深い。
タイトルは刺激的だが、読めば理にかなった保健指導であることがわかる。
今年から企業に義務づけられた、メタボ対策・保健指導の参考書として最適。
小山内式健康づくりが堤さんの言葉と経験から語られるため、わかりやすく、本書は小山内理論の入門書、実践書ともなっている。
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