ゆるやかなつながり
グループ「ときめき」は、体操を目的として、5年前の平成16年に結成されました。 毎朝(土日祭日を除く)町営の施設に集まって、小山内体操のほかにラジオ体操やスクワット、膝屈伸などいくつかを組み合わせて行ないます。

小山内体操との出会いは、古い人で10数年前。当時日の出町の保健師さんが、腰痛や様ざまなトラブルを抱える住民のために、小山内先生直伝のこの体操を、保健センターで毎朝実施していたのです。
小山内先生は、生前、町の依頼を受けて、たびたび日の出町を訪れ、住民の健康指導にあたっておられました。日の出町は、予防医学の権威である医師から直接指導を受けるという、たいへん恵まれた自治体の1つだったのです。
このときに、多くの住民に小山内体操が普及しました。その中でも体操のめざましい効果を実感した人たちが、町での指導が終了した後も、「体操を継続したい」という強い希望を持って、グループを結成しました。それが「ときめき」です。
グループは5年目を迎えました。途中から加わった人を含め、現在10人。55歳から68歳までの女性ばかりです。ここには指導者はいません。全員が同じ立場で、自主的に運営されています。休むのも自由、カギを開けるのも早く来た人と、強制はなく、あるのはゆるやかなつながりです。
それがいいのでしょう。「ときめき」は、健康以外にも、すばらしい人間関係をもたらしてくれているようです。
軟らかいからだに感嘆!
桜吹雪の舞う、美しい日、体操の現場を訪ねました。
町営の施設は、簡素ながら広くて明るい一室。そこに座布団を敷いて、4組が2人一組になって体操を行っていました。1人が足を押さえ、もう1人が背そらし・背のばしする、あの体操です。
全員苦しそうでもなく、ラクにやっている感じ。もう慣れているのでしょう。
それにしても皆さんからだの軟らかいこと。背そらしはしっかり天井をみるまで。背のばしは足を伸ばして、膝につくまで。きちんと行われています。

「スゴイですねー」といったら、 「最初は背中に座布団を何枚もあてがって、やっと起き上がれる状態だったんですよ。やっているうちにできるようになったのです」
「O脚で両膝が着かなかったが、足がまっすぐ伸びて着くようになりました」
息を弾ませることもなく、口々に語ります。
「継続は力なり」というけれど、続けていれば、誰でもできるようになる、ということがよくわかりました。
では、その努力の果実とはどんなものか、1人ずつに聞いてみましょう。
私の得たもの…7人の証言
● サボると再発する。この体操は私の腰痛保険です。Y・Kさん(65)
ひどい腰痛でした。腰骨がズレている「すべり症」と診断され、手術以外には24時間の牽引しかないと言われた。はり、きゅう、整体と門を叩いたが、いずれも一時しのぎで、治癒にはいたらず。結局医師の言うとおり「腹筋・背筋を鍛えなくては、根本的な解決にはつながらない」と思いました。
保健師さんに相談して、当時、役場の保健センターで実施していた体操に参加することに。週に2〜3回通ううち、徐々に痛みが少なくなり、回復の手応えが感じられた。2年くらいして、恐る恐る飛行機に乗ってみたら、何ともなくて、ああよくなったんだと実感し、喜びがこみ上げてきました。
今もこうして日課とし、少しサボると、からだがイヤがっているのがわかる。この体操とは一生のおつきあいです。
● 正座ができるようになりました。H・Kさん(67)
膝をいためて、軟骨もすりへっているといわれ、正座ができなかった。
月に1回、保健師さんの支援で行われていた体操に通うようになり、いつの間にか正座できるように。脚のだるさ、ハリがとれ、足どりも軽くなり、若返ったようです。
● 歩き方が変わり、転ばなくなった。N・Tさん(55)
スーパーで半日、うつむきの同じ姿勢で作業していたせいか、常に腰痛があり、しょっちゅう転んだり、つまづいたりしていた。歩き方もヘンだと保健師さんに指摘され、それがあまりにひどかったらしく、月に1度の腰痛体操に通うようすすめてくれた。
2年前から毎朝ここへ通うようになり、腰痛は解消。歩き方も変わって、以前のように転ばなくなった。股関節が軟らかくなったのでしょう。
整体には、これまでどれくらい払ったかしら。体操はタダで、元気になって、おまけに先輩主婦から経験や知恵を伝えられ、いいことずくめです。
● O脚、猫背が改善し、「ストップ老化」に成功。C・Tさん(61)
年とともに猫背になり、O脚が目立つようになった。
亡くなった母と体型がよく似てきて、老化とはそういうものかと半ばあきらめていたが、体操に来るようになって、考えが変わった。脚はそろえて両膝がつくようになり、背筋もまっすぐになり、老化にストップがかかったような気がする。
今ではこの体操をしていなかったらと思うと、おそろしくなります。
● 老いに備えてからだづくり。K・Mさん(61)
時どき腰痛がある程度でしたが、周りを見て体操のめざましい予防効果を知り、将来に備えてはじめました。
保健センターで保健師さんから、からだのしくみや機能、生理など、健康を保つために大切な、基本的なことを学んだ。この体操についても、なぜ「効く」のか、1回行うたびにひと呼吸おくのはなぜかなど、きちんと説明してくれたので、納得してやっています。
食物についても、いろいろな情報が得られ、開眼した思い。
将来年をとって、家事が負担になったとき、1人1品持ち寄れば10品に。十人十色で、バラエテイ豊かですよね。そんな関係も楽しみです。
● クルマ社会に生きる現代人にとって、欠かせない体操。I・Mさん(67)
髪を洗ってもすぐに立てない、落としたものを拾えないほどのひどい腰痛持ちでした。
55歳の時に、整形外科医に腰骨がズレているといわれ、「腹筋と背筋を鍛える体操をしなさい」とすすめられた。
役場の広報誌で腰痛体操のことを知り、ものは試しで参加。週に5回ほど通って3カ月ほどで改善し、よくなりました。保健センターでの体操が終了した後も、「こんなに効く体操は止められない!」との一念で、「ときめき」に入れてもらいました。
小山内先生は「現代人は家でも会社でも、座って手先を動かす動作が多く、背筋・腹筋を大きく動かす動作をしていないから、腰痛が起きる」といっています。からだの偏りを是正し、腰痛を防止するために、この体操は欠かせないと思います。
● 健康であればこそ人の役に立てるし、喜びを分かち合える。M・Mさん(65)
きっかけは猫背でした。「体操やると治るよ」と言われてはじめることに。
町の健康推進委員を担当していたとき、小山内先生にお会いして、著書も読み、小山内理論はある程度理解していました。
しかし体操の威力は、実践してみて思ったよりはるかにスゴイことがわかりました。 私は10年以上実践して、自分の猫背は改善し、肩こり・腰痛はありません。

私だけでなく、全員がスリムになり、背筋がのびて、スタイルがよくなった気がします。 時どきみんなで歩き方や姿勢をチェックするのも、いいみたいです。
体操から健康全般に視野が広がり、味噌づくりや梅干づくりにもチャレンジしています。いろいろな情報が行き交って、楽しくて、みんな好奇心いっぱいで。体操を輪の中心に、いつまでも元気で、ときめいていたいですね。
健康づくりは地域ぐるみで
皆さん、努力が報われて、トラブルはほぼ改善されたようです。
体操を続けているうちに「疲れにくくなった」「風邪をひいても治りが早い」「パソコンをやっても目が疲れない」といった声も。
体操を何日か休むと、からだの調子が悪く、重く感じるので、毎日続けることの大切さを知り、改めて長年続けてきたことが「効いている」と感じるそうです。
「もし体操を続けていなかったら、今ほど元気でいられたかどうか。病気になれば医療費もかかるし、不自由な生活を強いられていたかもしれない・・・」とも。
年金生活者にとって、健康であることは何よりも大切です。
今、老人医療、介護のあり方が問い直されていますが、高齢者本人が幸福な老後を迎えるためにも、こうした取り組みが求められるのではないでしょうか。

そしてうらやましいのは、毎朝元気で声をかけあえる仲間の存在。休むと心配し、それとなく気をつかう、さりげない関係のすばらしさ。そうして培った関係は、年をとった時にどんなにか心強いことでしょう。
「ときめき」には、高齢化時代を生きるヒントが、いっぱい隠されていると感じました。
未来へつなげる
健康づくりからはじまって、食生活の見直しから手作り志向へと、グループ「ときめき」の活動はさらに進化しています。
この春は、地元の子供たちとよもぎを摘んで、よもぎもちづくりを体験してもらいました。 摘んだよもぎをゆでて、蒸したもち米と混ぜて、鮮やかな緑色のおもちができるまで、プロセスを体験して、子供たちは大喜び。
食べ物の原型が見えにくくなっている今、こうした経験は、子供の心に強い印象を与えることでしょう。
「ときめき」は、地域社会に知恵や文化を伝え、未来につなげるメッセンジャーでもあります。
(文責 高木亜由子)
(2009年4月20日)
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