「水かけっ子」はアレルギー知らず!
「水かけ」で自然治癒力を高め、病気知らず。
日の出町で子育てできてよかった!
 新井美紀さん 2女1男の母
● 3児とも健康優良児!
3人の子供を、すべて風呂上りに水をかぶせて育てた新井美紀ママ。
水かけを始めたきっかけは、長女彩花(9歳)ちゃんの入院だった。
当時の心境を、美紀さんは本の中で次のように語っている。
「長女が1歳の誕生日を迎えてすぐ、風邪から腸炎を起こし、高熱と下痢が続いて緊急入院。その際、病院をたらいまわしにされてコワイ思いをしたことから、『風邪をひかなくなる』という保健婦さんの言葉を思い出して冷水浴を決意。それ以降、風邪をひく回数が少なくなり、この1年は1日も幼稚園を休まなかった。水かけの威力を思い知って、長男、次女は生後1週間から開始。おかげで3人ともめったに風邪をひかず、ほとんど医者にかかっていない。アレルギーは3人とも出ていません」(『今すぐできる体質改善の新常識』より)。
 あれから5年。日の出町の自宅を訪ねた。緑に囲まれた、日当たりのいい庭先ではねまわる子供たちは、元気いっぱい。長女の彩花チャンは9歳・小4に、長男裕太クンは8歳・小2に、次女未来チャンは5歳・幼稚園児に成長した。
どの子も順調に育って「アレルギーはないし、風邪をひいても鼻水くらいで、めったに熱を出すことはない。この春未来が水疱瘡にかかったときも、熱が出ないので、発疹が出てやっと感染に気がついたほど。3人ともおたふく風邪、インフルエンザにもかかっていない」という。
子供が元気なせいか、美紀ママもゆったり安心して子育てを楽しんでいるように見えた。

● 「水かけ」は小さいうちほど“効く”
この5年間で、「水かけ」を通して美紀ママも学習した。
「熱が出たくらいでは、病院に連れていかない。それより発熱はからだがウイルスと闘っている防衛反応と考え、見守る。以前彩花が熱を出したときに、解熱剤を投与され、効き過ぎて体温が33℃まで下がり、たいへんな思いをしたことがある。安易にクスリに頼りたくないのです」
今年になって、どの子も風邪をひいてないし、最近では、いつ病院に行ったのか記憶にないくらいという。そんなに元気なのは、みんなしっかり「水かけ」しているからと思ったら、返事が鈍い。どうやら最近は、あまりに問題がないせいか、サボり気味のようだ。それでも赤ちゃんの頃からの水かけで、副腎がよく発育して、抵抗力のあるからだに育っているのだろう。
生まれてまもなくの「水かけ」がいかに大切か、思い知らされた。美紀ママには、気を抜かずに、これからもしっかり継続していただきたいと思う。

小山内コラム●1
「水かけ」は天然のクスリ・副腎皮質ホルモンの分泌を促す

「水かけ」がなぜ風邪ひきやアレルギーに強いからだをつくるのか、先生の著書から、かいつまんで説明しよう。
水をかぶると、からだは寒さの刺激で、副腎が活性化し、副腎皮質ホルモンという、からだを守る重要なホルモンの分泌を促す。
副腎皮質ホルモンには、アレルギーの治療に使われるステロイドが含まれている。
ステロイドは、副作用も大きいが、よく効くことで知られている。
「水かけ」をすると、副腎はがんばって、この副腎皮質ホルモンを多く分泌して、風邪やアレルギー反応を抑えてくれる。
そこで、「水かけ」をして、自分のからだの中にある天然のクスリ・副腎皮質ホルモン多く分泌して、自力で病気を抑えようというのである。
(『今すぐできる体質改善の新常識』より)
 
●日の出町の保健師は最高!
美紀さんはこの1月から週に3日、パートで働くようになった。
子供たちが健康だから、安心して仕事ができるという。これも、長年、子育てをサポートしてくれた保健師のおかげと感謝している。
「日の出町に住んで、ここで子育てできて、ほんとうによかった。保健センターにベテランの保健師さんがいて、 子育てのあらゆる場面で相談にのってくれた。 水かけをはじめ、からだに備わった自然治癒力を高めることや、子育てに大切なことを教えてくれた。3人目を生んだのも、 信頼できる保健師さんがいたから」という。
生まれてからずっと3人の男児を
風呂上がりに「水かけ」して、
子育てがこんなにラクだったとは!
 松尾由紀子さん 3人の男児の母
●アレルギーゼロ、風邪もひかない
長男の滉大(7歳)クンが生後5カ月になって「水かけ」をはじめ、その効果を確信して次男柊吾(5歳)クンも5カ月目から、 3男優輝(2歳)クンは生まれてすぐに水かけした。
 長男が生まれてまもなく、保健センターの赤ちゃんグループの集まりで、 「水をかけて育てると、丈夫になる、アレルギーを予防できる」と聞いてやってみようと思った。隣にいたお母さんが「うちは退院してすぐ、 水道の蛇口から直接子供に水をかけた」と聞いて、寒中なのにとびっくり。自分もやってみたけれど、大泣きされてひるみ、 暖かくなり始めた5月から始めた。末の優輝クンは10月生まれで、まだ寒くなかったので、生後1週間で開始。 お母さんの肌もきれいになるというので、由紀子さんもだっこをして一緒にシャワーを浴びた。
長男から始めて7年半、毎日風呂上がりに3人の子供に「水かけ」を実践してきた由紀子さんの感想といえば、期待以上のものだった。
まず風邪をひきにくいこと。これは3人に共通していえる。たとえ風邪をひいて熱が出ても、翌日には平熱に下がる。 寝込むことはまずないという。風邪で病院に連れて行った経験がない。
アレルギーも出ていない。3人とも、食物アレルギーもアトピーもなし。
この7年で病気らしい病気といえば、長男の溶連菌と次男のはしかくらいという。はしかは医者にもかからず、経過した。
とにかく、手がかからない。3人とも成長するにつれ、からだがしまって、しっかりしていくのがわかるという。
小山内コラム●2
病気を経て免疫力をつける

小山内先生は、風邪ひきなどトラブルについて、次のように言っている。
「からだは病気を経験することによって、大なり小なり免疫ができていって、 しっかりしたからだがつくられる。風邪をひいたり熱を出したりといったトラブルは、 ある意味でからだづくりのトレーニングともいえる。それを鼻がぐずぐずしてかわいそうだから、 熱があるから心配だといって、その都度クスリを飲ませていたら、ウイルスと闘うからだの反応を抑えてしまう。 自分で闘ったことにならないから、免疫のでき具合も不十分です。そうなると、この先風邪をひきにくい強いからだに育っていくかどうかは疑問です・・・」
「子供が調子を崩したとき、その場の苦しみだけを取り除いてやればいいというのではなく、その子が強くなって、 この先自分でがんばれるようになるかを考えて対応したい」(『今すぐできる体質改善の新常識』より)
 
●「水かけ」をめぐる誤解
「水かけ」は簡単だけど、やらせるのは容易ではない。
松尾家では、物心つく前から風呂上がりの「水かけ」を実践しているので、どの子もまったく抵抗はない。 真冬でもすすんで頭から水シャワーを浴びるという。
保育園の昼休み、木登りして遊ぶ柊吾クンに聞いてみた。
「水かけ、やってる?」「ウン。冷たいけれど、毎日やるよ」
この寒さでもサボらないのだ。「水かけ」は真冬ほど効果が大きい。
やはり「早いうちから始めるが勝ち」である。
由紀子さんは、風呂上りの「水かけ」というわずかな手間で、病気知らず、アレルギー知らずのからだに育つのだから、 こんなにいいものはないと思っている。しかしお母さんがたにすすめても、周囲の反対でなかなか踏み切れないようだ。 とくにおじいちゃんおばあちゃんは自分が寒がりなので、赤ちゃんをぐるぐる巻きにくるんでだっこする。 水をかけるなんていったら、死んでしまうと思っている。
じつは、保健センターでも「水かけ」は問題になった。地元の病院から「子供はあたたかく育てるもので、 水かけなんてとんでもない」とのクレームがついたという。
「水かけ」は、小山内先生の理論である。先生が生前、日の出町の健康づくりの講師として招かれた際、 おかあさんがたから子供や孫のアレルギーについて相談され、「水かけ」をアドバイスした。それを実践した家ではたちまち改善効果がみられ、 あっという間に普及したという。それを受けて、母親学級でも「水かけ」をすすめるようになったというのがそもそもの始まりである。
小山内先生は、そのときの講演で言っている。「子供は湯たんぽ代わりになるくらいあったかいのに、まるで蒸し風呂に入れているような人がいる。 これでは育つもの(副腎)も育たないでしょ!」と。今の子供たちがアレルギーになりやすいのも、 この生まれたときの環境が大きく影響していると先生は言われる。
しかし・・・今、保健センターでは「水かけ」はすすめられていない。
しかし・・・その効果を知ったお母さんがたの口コミで、語り伝えられているという。

●子育ての知恵を語り伝えてほしい
由紀子さんは、体験上「水をかけると冷える」というのは、誤解という。
風呂上りに水をかぶると、夏は汗が引いてさっぱり、冬はポカポカして冷え知らず。水をかぶると冷えるというのは逆だという。 理論的にも、冷水で皮膚を冷やすと、皮膚表面から熱が逃げにくいため、かえって湯冷めしにくく、からだは温まるはずだ。
今、由紀子さんは中西保健師の不在を惜しむ。
「中西さんは3人の子供の母で、経験豊かで、ほんとうに頼りになる存在だった。初めての子を持つ不安なお母さんは、 どれだけ助けられたことか。保健センターにいなくなってさびしいし、もったいない。現場を離れても、 日の出町に伝えられてきたすばらしい子育ての知恵を、若い保健師さんに伝えてほしい」と願っている。
「新生児への水かけ」で病気知らず。
おかげでフルタイムで働いて
4年間無欠勤・無早退です。
 田村光世さん 2女1男の母
● 「新生児に水かけ」で健康を守り育てる
田村光世(31)さんは、新生児に水道水をじゃあじゃあかけて、松尾さんを驚かせたという豪胆なお母さんだ。
そのときの有様が、本には次のように記されている。
 「上の娘も下の娘も、生後6日目から<水かけデビュー>して、 現在まで休まず行っています。・・・母親学級のビデオで見たとおり、水道から直接かけました。 泣き声が予想以上で、両親や周囲からは“虐待”と言われましたが、・・・今ではまっ たく泣かず、平気な顔をしています。
上の娘は3カ月健診ではひどい乾燥肌でしたが、「水かけ」を続けていたら、顔面や胸から腹部にかけてあったカサカサがなくなり、 きれいになってきました。「水かけ」していなかったらと思うと、ちょっとこわい気がします。2人とも「水かけ」のせいか、 今のところ風邪もひかずに元気に育っています・・・」(『今すぐできる体質改善の新常識』より)
当時2歳だった長女の弥久ちゃんは7歳に、9カ月だった次女の莉瑚ちゃんは5歳に、その後長男の慎一郎君が誕生し、現在3歳。 田村さんも3児の母だ。少子化の時代に、日の出町は3人目を生むお母さんが多いようだ。なぜか聞いてみると、 新井さん同様「中西さん、那須野さん(ともに保健師)がいなかったら、3人目は生んでいなかった。」ときっぱりいう。すごい信頼感だ。
でも子供たちの成育ぶりをみると、母親の信頼感もわかる気がする。
● 副腎の威力に感謝!
あれから5年たった今も、3児はまったく手がかからないという。  
末っ子の慎一郎君は生後半年から「水かけ」の洗礼を受け、元気いっぱい。幼児がかかりやすい突発性湿疹も出なかった。病気といえば、1度、喘息性気管支炎にかかって、2、3日入院したくらい。
 訪ねた日の慎一郎君は、おたふく風邪で休んでいるところだったが、熱も出ないし、食欲もあるという。イガグリ頭で走り回っている様子は、とても病気には見えなかった。  
そこへ長女の弥久ちゃんが帰宅。生後6日目で「水かけデビュー」した、生粋の「水かけっ子」だ。彼女も風邪はひかないし、インフルエンザにもかからないし、アトピーも出ない。健康優良児だという。
もちろん「水かけ」はやっているよねと聞いたら、「やってなーい」という返事。
えーっ 
それでもこんなに元気なのは、やはり赤ちゃん時代の「水かけ」体験のせいだろうか。
「新生児に水道水をかける」という母親の決断が、これほど子供の健康を守り育てているとは、光世さんも想像だにしなかっただろう。  
小山内コラム●3
しっかり育った副腎は生涯の財産

「水かけっ子」が風邪やアレルギーに強いのは、寒さの刺激で副腎がよく発育し、副腎皮質ホルモンを多く分泌するからだになっているから。 いざというときに、このホルモンが出てきて、トラブルを抑えてくれる。
今の子供がアトピーだったり、皮膚が弱かったり、風邪をひきやすいのは、この副腎皮質ホルモンが不足しているから。 それは、現代っ子が冷暖房等完備した環境に囲まれて、暑さ寒さといった刺激を受けにくくなっていることから、副腎の発育が十分でなく、副腎皮質ホルモンの分泌が不足して、トラブルを抑えきれないためと考えられる。
そこで問題解決のために、もっとも手軽な刺激法として「水かけ」を提案する。
1日わずか1分、風呂上がりに冷水を浴びるだけで、しっかりした副腎が育つ。
副腎の発育は、成人すると、止まってしまう。身長が伸びている成長期に、しっかり副腎を鍛えることが大事だ。副腎の発育状態は、外からは見えないけれど、親は身長や体重の増加と同様、気にしてほしい。それほど大切なのだから。
小山内先生はそう言って、子供の「水かけ」を強く奨励したのである。
(『今すぐできる体質改善の新常識』より)
 
● 「水かけ」と「小山内体操」は働く母親の強い味方
子供が元気で、病気知らずで助かるのは、母親である。光世さんは、4年前から老人ホームで介護の仕事をしているが、無欠勤、無早退である。 保育園から熱が出たといったSOSが届いたことは皆無だから、子供のおかげという。
そしてもうひとつ、頼りになるのが小山内体操だ。介護の力仕事で、腰痛が起きると、子供に足を押さえてもらって、あの体操をやるという。 「あの体操があるから、仕事に打ち込める」とも。腰痛持ちの光世さんは、以前、臨月まであの体操を行い、超安産した経験がある。 そのときからのお助け体操なのだ。
冒頭の新井さんも、自律神経に不安があるので、小山内体操を欠かさないという。
「水かけ」と小山内体操は、子育て中の母親の力強い味方だ。

日の出町の保健活動を取材して5年後、再会した「水かけっ子」は、全員アレルギーゼロ、風邪もめったにひかない、超元気な子供でした。
  今、新型インフルエンザの流行が心配されています。
アレルギーを予防し、病気に打ち克つ強いからだをつくるために「水かけ」をおすすめします。 寒い季節ですので、風呂でよくあたたまってから実行し、寒くてがまんできない場合は、再び風呂にとび込んであたたまり……を2、3回くり返せば、 湯上がりもポカポカあたたまります。
「水かけ」の効能や実践について詳しく知りたいかたは、『今すぐできる体質改善の新常識』(新潮新書 2004年刊)を参考にしてください。
同書は、小山内先生の、子供のからだづくりに関するテキストともなっています。
(文責 高木亜由子)
(2008年11月23日)
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