メタボの生みの親「朝ご飯」は必要か!

某スーパーで、おどろくべきポスターを発見!

  デキる人は  
  毎朝しっかり   
  摂っている。

という黒ゴチック体のコピーの下には、白いご飯の写真と、ヤル気満々の女子高生と若手ビジネスマンの姿が。
それぞれに、朝食摂取が勉強に仕事にいかに有効か、というキャプションがつけられています。  
ポスター製作は、農林水産省。  
これって、もしかして、今年出版された堤祐子著(三五館刊)『デキる社員は「朝食抜き!」』のパクリ逆襲では!? 
では本当に朝食摂取は能力アップにつながるのか、同書の理論的指導者であり、パートナーでもあった小山内博医師の健康論から徹底検証いたします。

衝撃のポスターは右のとおり。
  • 女子高生のキャプションは
  • 早ね 早おき 朝ごはん
  • 朝食を毎日摂って集中力アップ
  • 若手ビジネスマンのキャプションは
  • 朝9時までに食べる→1日シャキッ
  • 朝食で「ごはん」を食べている人は、脳がしっかり働いて、午前中から仕事がさえる!
というものです。
本当に朝ご飯を食べると、「集中力が増し」「脳がしっかり働く」のか。小山内氏の著書、および堤祐子さんの『デキる社員は「朝食抜き!」』から、そして関係者の証言から、真偽のほどを探っていきます。まずは消化吸収のメカニズムから。
1. ものを食べると、活動が鈍くなる

ものを食べると、活動的になるどころか、反対に活動が鈍くなります。
それは、消化吸収活動にエネルギーをとられるからです。

私たちのからだは、ものを食べると否応なく消化吸収が始まります。血液は胃腸に集まり、酸素と栄養を運んで、消化吸収活動を支えます。血液は、肉体を使うときは筋肉へ、頭を使うときは脳へ集まり、酸素と栄養を運んでその活動を支えるのです。

食後は、消化吸収活動が始まるので、血液は胃腸に集中し、脳や筋肉に回る量は少なくなります。そのために、食後は筋活動も、脳活動も働きは鈍くなるのです。

朝はこれから活動が始まるとき。しっかり朝食を摂ったりすれば、消化にエネルギーをとられ、からだが重く、仕事に十分力を発揮できません。脳にも血液が十分に回らず、頭もよく働かないのでは。
たらふく食べたあとは、眠くなることからもおわかりでしょう。

2. 朝食摂取は胃腸の障害を招く

ものを食べると、活動が鈍くなるということは、反面、食後すぐに活動すれば、消化活動も十分に行われないということになります。そう、朝食摂取は、消化にも悪い影響を及ぼすのです。

ふつう朝食後は活動がはじまり、学生もビジネスマンも、通学に通勤に急ぎます。朝食をしっかり摂ったりしたら、なおのこと時間がないので、走ったり、駅の階段をかけ上がったりすることにもなります。
そのときからだの中では、血液が胃腸に集中して、消化活動の真っ最中です。そのさなかに走ったりすると、血液は筋肉に取られます。からだの中の血液量は一定ですから、活動する部位へと分散し、胃腸に回る血液は減るわけです。そうなると、胃壁には、酸素も栄養も十分に供給されず、食べたものに見合うだけの消化液は分泌されませんから、消化は大きくダメージをうけます。

食べたあとすぐに走ると、脇腹が痛くなりますね。これは走ったために血液が筋肉に横取りされ、消化活動が妨げられたからです。からだは同時に2つのことを、完璧にはできないのです。

食後もし、昔の人がいうように「親が死んでも食休み」で安静にしていれば、血液は胃腸に集中し、消化はきちんと行われます。ところが通勤通学の激しい動きの中では、消化の能力はなんと安静時の5分の1程度に落ちてしまうのです。
これが毎日のこととなると、胃腸は食べたものに見合うだけの消化液が分泌されないから、常に消化不良の状態にあり、胃が重い、もたれる、違和感があるということになります。消化吸収が不十分なせいで、栄養もあまり吸収されません。

胃壁の細胞に血液がきちんと届いていないから、細胞が徐々にダメージを受けて、胃壁が赤くただれて、いつも胃がしくしく痛むようになると、慢性胃炎です。これがひどくなると胃潰瘍に進みます。

こうしたトラブルが積み重なると、胃腸をはじめとする消化器はじわじわと障害を受け続け、やがては胃がんや消化器系のがんへの道が用意されることになります。
小山内先生は、日本人の胃がん発生率が欧米人の10倍近くのぼるのは、食後すぐせかせか働く国民性と、朝食をしっかり摂る食習慣が大きく影響していると指摘されました。
欧米人は朝食を摂るにしても、せいぜいパンとコーヒーくらいです。日本のように「朝からしっかり食べよう」と、国をあげて朝食摂取を奨励する国はほかにありません。
メタボ時代の今こそ、朝食信仰を見直す時期ではありませんか。

3. 朝食は肥満のもと

前回のトピックスで紹介したS氏は、朝食抜きをはじめとする小山内式の実践で、4カ月で8kgの減量に成功しました。このうちの2〜3kgは、おそらく朝食抜きの成果でしょう。
ふつう朝食をとっていた人は、朝食を抜くだけで誰でも2〜3kgは減量します。 ということは、朝食摂取は肥満を招くのです。

『デキる社員は「朝食抜き!」』(三五館刊)の中で、堤さんは「独身時代はスリムだった人が、30代も半ばを過ぎると、たいていおなかが出てくるのは、ひとつには結婚して、朝しっかり朝食を摂るようになったからではないか」といっています。

朝食べると太るのは、蓄えたエネルギーが消費されないからです。朝は、前夜に摂った食事が消化吸収されて、ブドウ糖は筋肉と肝臓にグリコーゲンとして蓄積され、余った分は脂肪にして蓄えられ、何も食べなくてもエネルギー満タンの状態にあります。それなのに起きてすぐ、まったくエネルギーを使うことなく、新たに食事をとるから、脂肪になって溜め込まれるばかりで、太る方向に向かうのです。

朝食を抜くと、1食分のカロリーが減るから減量できるのは当然ですが、それだけではありません。午前中空腹で活動することにより、効率よく備蓄脂肪を消費し、燃焼するという、大きな効果が期待できるのです。その実例は、前回トピックスのS氏のケースを参考にしてください。

4. 朝食摂取はおなかの調子を崩す

朝起きてすぐ、時間も食欲もないのに、むりに食べたり食べさせられたりすると、消化液の分泌が十分ではなく、下痢をしたり、腸カタルの原因にもなります。
いつもおなかの調子が悪い、下痢気味という人は、起きぬけに朝ごはんをかき込んで、ろくにかまずに家を飛び出しているのではありませんか。

消化液の胃酸は塩酸で、ペプシンを助けてたんぱく質を消化すると同時に、胃内に入ってきたバクテリアを殺す門番の役割もしています。ところが、急いで食事をしたり、食後すぐに活動をはじめると、胃酸の分泌が間に合わなくて、消化が十分にされないだけでなく、食べ物の中に混入したバクテリアが、胃酸に殺されることなく腸に送り込まれてしまいます。

そうなると、腸内に棲みついている悪玉や善玉など腸内菌のバランスが崩れて、腸内戦争がはじまり、腸カタルや下痢を起こすことになります。
このような細菌の中には、有害な物質をつくり出すものがあり、その毒素が腸から吸収されて、頭痛や吐き気、めまいを起こしたり、運動中に気分が悪くなって倒れる、といった中毒症状を呈することもあるそうです。

小山内先生は、以前朝礼で倒れた子を診るために、中学1年生120人のおなかを調べたことがあり、そのうちの約3割が潜在的な腸カタルを持っていたとの報告をされました。子供たちは食後すぐの勉強や運動によって、胃酸の分泌が十分でないため、ふだんから腸内菌のバランスが悪く、簡単に朝礼で倒れたりすることになるとの診断でした。
そして、「朝の忙しい時間に、食欲もないのにむりに食べさせても、消化吸収が十分にされなければ栄養は身につかないし、胃酸の分泌が間に合わなくて、いつもおなかの調子が悪いことになる。それよりゆっくり食事が摂れて、食後休める環境にあるときに食べさせたほうが、はるかに栄養の吸収がいいし、おなかの調子もいい」
といって「朝食摂取」の習慣も見直す必要があると指摘されました。

これって、ビジネスマンの方がたにも、そっくりあてはまるのでは!

いろいろな理由をあげましたが・・・というわけで朝は飲み物くらいにして、すきっ腹で仕事や勉強に励んだほうが、頭がさえ、からだが軽く、能率がいいのです。もちろん体調は上々。朝食をやめた人は皆そのようにいいます。
まずはお試しください。

朝食の弊害を説くのは、小山内先生だけではありません。朝食摂取は生理的にみてマイナス面が大きいので、医師でも反対派の先生はいます。  
現役では、生命哲学研究所の井上敬医師が、「健康方程式」と名づけた、3つの健康哲学から成り立つ健康法を、幅広く伝える活動をされています。
その中のひとつ「究食」で、朝食について次のように述べています。

朝食は、(1)肥満の原因となり、(2)午前中の生産性を落とし、(3)胃がん大腸がんの原因となり、(4)消化生理に反し、(5)時間の浪費になり、(6)食費の浪費になります。  
要するに、朝食は、時間の無駄、食費の無駄です。まず朝食を食べないことが「朝食真理教」から開放される第一歩です。論より証拠ですから、まずひと月、実践してみてください。
井上医師の提唱される「究食」とは次のとおりです。
究食とは「休食+求食+球食」です。朝は休食、体を整えるものだけ摂取します。つまり、水とビタミン(野菜ジュース)で充分です。昼は求食、体が求める燃料を摂取します。米、パスタなどの炭水化物です。夕は球食、球状でもっとも価値の高い食物を摂取します。つまり豆類です。夕食は豆類、たんぱく質、野菜を中心に摂取してください。

井上敬医師は、大阪日本赤十字病院で救急医として勤務されていました。
5年間で10000人を診察され、うち100人が亡くなられたとのこと。その勤務経験を通じて、「正確な診断をして、治療すれば、病気は治る」という取り組みに限界を感じました。「医学は19世紀のドイツとフランスで起こった。21世紀の治療は予防である」との思いを強くし、現在、予防のための取り組みをされています。
井上先生の活動については、先生のブログをご覧ください。

(文責 高木亜由子)

●このコーナーに関するご意見、ご質問をお寄せください。
   小山内博の健康づくり全般に関するご意見も承ります。
●「トピックス」は、皆様との意見交換の場としたいと思っております。

info@osanai.info